黒 澤公人の ドキュメンテーションの夢と希望を求めて

「一次情報ダイレクトアクセス」時代、「検索即閲覧」時代のドキュメンテーションシステムのあり方を考える。

ドキュメンテーションの夢と希望を求めて

黒澤がドキュメンテーションなる言葉に出会ったのは、図書館短期大学に入学してからである。そこで、一人の先生から、何かを 伝えられた。それ は、ドキュメンテーションの壮大な夢と希望の物語であった。まるで、壮大な宇宙を、丸木舟で乗り出す無謀な勇者のような物語で あった。

 ドキュメンテーションの壮大な夢は、世界中の全ての知見を把握する。そのための、目録カードを駆使し、ばく大な数のカード を作成しようとい う試み、マイクロフィルムへの情熱、コンピュータの利用、時代時代の使えるあらゆる方法を駆使し、日々生まれる新しい知見を捕ま えようとする努力があっ た。言葉、知見の広報それが、国家を、世界を支える基のように感じて、図書館、ドキュメンテーション活動を支えようとする力。ま るで、人類の未来を切り開 く力が、国家を成り立たせる力が、そこにはあると信じて疑わない人の話のようでもあった。

今、世界中の図書館の統合をめざすZ39.50などの技術に出会うと、ドキュメンタリストの夢と希望の挑戦の歴史を感じてし まう。

はからずも、インターネット、wwwは全盛になり、世界はまるで一つに成ろうとしている。検索エンジンに対象とするデータ は、天文的数字とな り、人手でなにかすることの出来る数をはるかにしのぐデータを扱うようになった。

それでも、きっと、ドキュメンテーションの息づく人たちの挑戦は、その生涯をかけて続いているように思われる。知識の全て を、知見の全てを、 活字のすべてを凌駕するまで、限りない挑戦は続くだろう。

そして、そのような挑戦をし続けていた人を紹介したいと思います。この人は、一体、その生涯を通じて、何枚のINDEXカー ドを書いたことだ ろう。100万枚などという生やさしい数ではない、おそらく数百万という天文学的カード量にひとり格闘した。そのカバーする言語 も世界の言語におよび、そ の壮大な挑戦は、未完に終わったものも多い。しかし、一人の人間が、これ程まで、その情熱を捧げられるのかと、それは、ドキュメ ンテーションの夢と希望の 証である。私は、図書館短期大学の文献情報学科に学び、先生の人生を紹介するドキュメンテーションという図書のインタビュー編の 担当の一員として、何度か 先生のご自宅に伺った。また、先生が亡くなられた後、残された蔵書、インデックスカードをみる機会があった。そこで、本当に一人 の人間がなし得たのだろう かと思われる、膨大な量のカードを目の当たりにしたのである。

あまりの量と広範囲に渡る言語領域にとても、それを引き継げる人はいなかったのです。その残された資料の概要について、図書 館情報大学の佐藤 先生によって、纏まられている。

馬場重徳先生について

馬場重徳略歴

1909年(明治42年)ー1993年(平成5年) 83才で死去

1965年(昭和40年)ー1977年(昭和52年)図書館短期大学教授

1992年(82才)の時 近況報告によれば、

ドキュメンテーション・インフォーマチック用語の多国語用語集の編纂状況を寄せている。

それによれば、

1.アルバニアの用語

2.ロシア語の用語

3.チェック用語

4.ギリシャ・ラテン用語

5.スペイン用語

6.イタリア用語

7.ルーマニア用語

8.オランダ用語

9.ドイツ用語

10.フランス用語 (ワロン用語)

11.英用語

こららの用語は、日本語に解説しているわけでは、あらゆる言語にわたり、用語の関連をつけている。1992年、チェック用語 原稿が完成し印刷 の準備を進めていたが、先生が急遽死去されたため、用語集にする膨大な原稿が残された。この原稿には、チェック用語に非常にたく さんの言語(英、独、仏、 露、波、西)に関連つけられているため、先生以外校正できないため、出版は見送られた。その原稿は、コピーされ、図書館情報大学 図書館に保管されている が、その用語集は非常に大部のものである。

先生の代表的な著作の一つに Union Index of Books in the field of Documentation.(1970)

がある。この著作は、Documentation 関連の図書58冊の総合索引である。

な か見検索と Union  Index

その前書きとサンプルページ

先生は、世界の言語に通じており、非ローマ字言語のローマ字翻字を研究されている。

先生の理論の一つに、書誌方程式という概念がある。

論文等は、図書館短期大学紀紀要を参照。

ドキュメンテーションー馬場重徳論文集 参照

戦後日本の学術図書館政策及び図書館学の展開過程 参照




   馬場重徳文書に関するサイト

   図書館短期大学名誉教授 故馬場重徳先生の残された日本におけるドキュメンテーション関連資料
   戦後の図書館行政、ドキュメンテーションの普及に尽力され、図書館短期大学文献情報学科の創設を
   され、日本におけるドキュメンテーションの教育をされた。文献情報学科1期生の気谷さんの努力で
   情報が提供されている。