黒 澤公人の 面白図書館学 MARC

「一次情報ダイレクトアクセス」時代、「検索即閲覧」時代のドキュメンテーションシステムのあり方を考える。

シリーズ 黒澤公人の面白図書館学 MARC

図書館学の世界では、このMARC なるものが登場するが、その実態を直接操作することは、
日本では、ほとんどない。
MARCは、図書目録データを、記述するために考えらた。
図書目録カードを、このデータがあれば、再現することができるというものであった。

アメリカの議会図書館は、世界の図書館コンピュータ化の基本的な存在で、MARCを最初に考え、
世界中に供給した。MARCは、磁気テープになって世界中に輸送された。
そのようなテープを買って、コンピュータに取り込んで、目録カードを打ち出すことを商売にした時代もあった。
(とても、懐かしい話だ。私が図書館短期大学の学生だった 1975年ごろの話。)その会社の名称も、今は思い出せない。
日本では、図書館のコンピュータ化が図書館カードレスに進んだため、個々の図書館がMARCに触れることだない。ことになった。大学 図書館は、学術情報セ ンター(現:国立情報学研究所)の設立によって、図書館「システムのあり方か投げ方が急速に決定され、そのように動いたため、図書館 システムがMARCを 必要とすることなく、来てしまった。

公共図書館では、和書が中心なため、議会図書館に替わって、国立国会図書館のJAPAN-MARCが、その供給元になった。しかし、 磁気テープを扱うに は、いろいろ複雑な機器、プログラムが必要となり、あまり普及しなかった。
その、かわり、大きな成功を収めたのは、JBISCをはじめとするCD-ROMだった。

黒澤の勤務する国際基督教大学図書館では、ながらく、JAPAN-MARCを購入していたが、毎週1本づつ送られてくる磁気テープも 1年間に50本にもな り、保管も出来ず、廃棄処分をしていた。
システムにデータを取り込むため1度だけ、磁気テープ読み取り装置に掛けるだけで、ほとんど新品同様な磁気テープであるが、リサイク ルする当てもなく、た だただ、蓄えられた。当時、カナダからも毎週届けられ、小さな小さなコンピュータ室が磁気テープで溢れ返ったりした。捨てるの偲びが たくて。
しかし、磁気テープのリサイクルのあてもなく、ただ、野積みされることになる。
おそらく、国会図書館のコンピュータ室にも、LCのMARC磁気テープが何百本とあるにちがいない。

MARCの存在がほとんど、認識されないのに、図書館システムのデータは、どのように、交換されているのか。やはり、学情の構想は凄 かったし、それだけの 成果をあげたと思う。データをネットワークで交換する技術が、ここまで、整備されたのは、世界に類をみないかもしれない。

しかし、インターネットは、図書館技術のスピードを、瞬くまに、追い越し、遥かかなたへ行ってしまった。
あまりのインターネット、ブラウザーの発達の速さに、当時の図書館システム技術者は、あっけに取られたに違いないと私には思われる。 当時、1990年前半 にも、図書館はインターネットで繋がれ、世界中の図書館システムを検索することができた。それは、今日のブラウザーという技術とは別 に、telnet と呼ばれる、遠隔ログイン技術で、OPACを見ることができた。
さて、学情にアクセスすると、学情のデータが送られてくるように、データが送られてくるが、Z39.50という技術を行うと、検索結 果が、MARCという 形式になって、流される。このデータを使うと、そのまま、図書館システムのデータに取り込むことが可能になる。

日本では、ほとんど見かけない、MARCは、インターネットの世界で、図書館システム間を縦横無尽に飛び交って、相互利用的にそれぞ れの図書館システム取 り込まれている。

さて、ここで、そのような実態があるなら、インターネット上に、和書のMARCデータは、存在するのか。
実は、Z39.50サーバーのある、早稲田大学や、アメリカの図書館で、和書資料を収集している図書館からは和書のMARCデータが インターネット上に流 れているのである。
国会図書館が学情といったところがMARC情報を流さなくても、和書のMARC情報はどんどん流されているのである。
日本の図書館システムが、海外から和書データを供給される日も近いかもしれない。
(注:この場合の和書のMARC情報は、海外で広く採用されているMARCフォーマットで、JAPAN-MARCとは異なる)

日本で、MARCがほとんど、流通しないので、MARCをシステムに取り込むソフトや、システムがMARCを作り出すソフトがほとん どないことに注目すべ き事柄かもしれない。