黒 澤公人の面白図書館学 日本語ローマ字の悲劇 2

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シリーズ 黒澤公人の面白図書館学 日本語ローマ字の悲劇 2

面白図書館学 日本語ローマ字の悲劇 2 (ローマ字かな変換技術 の幻想)


コンピュータに日本語入力するにあたり、ローマ字かな変換技術の登場によって、飛躍的に向上した。
ローマ字を、日本語文字入力に、採用するという方法は、非常に画期的な技術であり、それまで、(かなり、古い話をしているのだが)日 本語入力をするために は、大きな漢字版のタブレットや特殊なキーボードが必要だった。
海外でも、偏や旁を組み合わせたキーボードが存在する。

しかし、日本語を入力するのに、なんの特殊な装置もいらず、また、特別な訓練もいらず、日本語入力するのにあまり、思考の中断もする ことなく、入力できる 点で、非常に優れている。

しかし、である。
ローマ字とはなにかという問題である。ローマ字とは、かな、カナの代替物でもないし、一体一で、相関関係にあるものではない。ローマ 字(ヘボン式はとく に。)日本語の発音を表記しているのであって、カナを表記しているわけではない。

東京を表わすために、ローマ字かな変換技術では TOUKYOU と入れるが、ローマ字(ヘボン式)では、T^OKY^O
となる。(長音を一文字で表示できないため、分離して表示)

決して、入力ローマ字はあくまで、日本語入力のためのローマ字であって、日本語表記のローマ字ではありえないということである。

表記でも、訓令、ヘボン式が存在するのに、ローマ字かな入力では、訓令、ヘボンどちらでも、しかも、メーカーごとに、特殊な拡張ま で、されている。

ますます、ローマ字にとって、悲劇な時代になった。
だれも、正しいローマ字を論じることができないような状態になった。

遠く、ローマ字かな入力とも無縁な、海外で、日本語表記のためのローマ字が、揺るぎのない形で ヘボン式で表記されている現実に、 ローマ字をもっとも使 い、恩恵を受けている日本人のみが、日本語の表記という大問題をまえに、混乱している。
自分の名前を、どう表記すべきか、悩んでいる人も存在するのも事実であるが。


日本におけるローマ字の多様性と同時に、ローマ字とは何かを誰も定義できない悲しさである。
結局、混乱しているのである。

ここで、クイズ

夏目漱石の坊っちゃん を ヘボン式で ローマ字表記せよ。
その文字を、 ローマ字かな 変換して、坊っちゃんにせよ。
なかなか、難しいでしょ。

でも、坊っちゃん と いう日本語表記すら、坊っちゃん、だったり、坊ちゃん だったりしているのである。
夏目漱石が見たら、なんというのであろうか。
なぜ、坊ちゃん が、発生するのか、これも、日本語の特質なのか?