黒澤公人の 図書館に思う 貸出冊数を飛躍的に増やす方法

「一次情報ダイレクトアクセス」時代、「検索即閲覧」時代のドキュメンテーションシステムのあり方を考える。

黒澤公人の図書館の貸出冊数を飛躍的に増やす方法


やはり初めにかかなくちゃいけないことは、

(0) 先生方が何気なく、貸出をする図書館
    先生方が、図書館に来て、図書を何気なく借りる。そのような風景の実現が大切。
    


(1)図書を読む動機付けが必要です.
  なぜ、図書をよななければならないのか
  なぜ、図書を読みたいのか という問題です.

  大学なら、図書を読ませる動機付けを積極的おこなうことによって、図書の貸し出し冊数は飛躍的に多くなります。読まなければない 必然性(テストに出 す、どのような調べものをしなければならない)を作り出すことによって、一人当たりの貸出数が増えてきます。

(1.5) 読みたい図書がすぐ手に入ること

  図書館の本は分類番号と著者記号で図書の場所が素早くみつかるようになっています。
  図書館システムのコンピュータ化も進み、探したい図書がどこにあるか、もしくは、貸出中であるかが、すばやくわかるようになって います。

  読みたい図書がすぐ見つかり、直ぐ手に取れる環境は大切です。
  最近書店でも、検索システムを用意している書店も増えましたが、大きな書店で、図書を見つけだすことは、困難です。
  しかし、図書館では、図書を探し出すことが可能です。できれば、5分以内に図書が見つかるようなシステム(建物の配置、書架レイ アウトなどを含めたシステムの構築)があると、図書の貸出は飛躍的に増えます。

  図書の貸出が増えないのは、多くの学生にとって、図書を見つけられないのではないかと思います。
  
  大学図書館間の図書を探すコンテストがあると、図書館の思わぬ使いにくさが見つかるかもしれません。(そのようなことを見つけて しまえば、改善の検討も可能になるのです。)



(2)図書の蔵書構成について (需要と供給)
  よく読まれる本がいつもあるかどうかも問題です。。
  いろいろな考え方があるかもしれませんが、多くの人に読まれる本がいつもあるべきです。
  難しい問題は,複本や使われる期間(特定年度だけ)といった資料と保存の問題があります。
  公共図書館では、100冊近い複本を入れたりする場合もあると聞くが、数万人の利用者相手に、図書を貸出を考えると、難しい問題 である。
  読みたいときに、図書があること。
  必要な時に図書があること。
  などを、考えると複本問題もいろいろ考えさせられることなる。
  大学などでは、授業のタイミングで読むべき図書が指定されると、複数の人が1冊の図書をめぐって、どのように利用できるのかと いった、制度の整備(リ ザーブブック制度や予約のあり方)が必要である。需要と供給のバランスをどのように考えるか、といった問題も生じる。

(3)図書を読むべき場所の提供
   図書を読む快適な空間造りは必要です.
   いったい、図書をどこで読むのかを十分検討するべき問題です.
   図書を読む速度は、人によって、まちまちですが、一時間といった時間内で、複数の図書を読み終える人もいます。
   図書館は本屋さんとは、違いますので、立ち読み、座り読みのできる快適な空間は必要です。

   公共図書館などでは、どう考えても、図書は借出して家で読むものといった雰囲気をもっているものもありますが、それは、あま り、関心しませんね。図書館は、本をじっくり読む場です。


(4)貸し出された図書を置いて置く場所
   これは、非常に難しい問題です。しかし、よく考えなければならないことです。
   本は非常に重いものです。一度に運べる量は、知れています。文庫本や新書版なら、いざしらず、通常の図書を10冊持ち歩くとい うことは、非常にたいへんなことです。
   貸出冊数を向上させることを考えるなら、貸し出された図書がいったい、どうなっていくのか
   じっくり検証する必要があります。いったい、貸し出された図書は、どうなっているの考える必要がありますね。
   

   (3)と(4)の関係をうまく行う方法の一つとして、個人用キャレル、卒論用個人キャレルというやりかたも存在する。非常に有 効な方法であるが、いつくかの問題もある。
   貸出手続きをおこなった図書が、キャレルおかれるのはかまわないが、貸出手続きのされていない図書がキャレルにおかれると、行 方不明本となってしまう。その数が、多くなると、図書館の信頼を大きく
   低下させる。個人用に設定(複数人で共有する方法もある。)されると、長時間活用する人には便利だが,あまり使われない人に とっては、本置き場でし かないといった問題がでてくる。スペース活用から考えると効率的とはいないので、利用者用空間のすくないところでは難しい。
    キャレルのみ集中して集めても面白みのない空間ができるので、書架とキャレルがうまくマッチした空間を演出することが必要.

   大学院生が、年間数百冊の図書を利用できるのも、研究室など、借出した図書を置いて置くことのできる場所をもっているからです ね。

(5) 図書をどのように持ち歩くのか。
    たくさんの図書を借りている人は、たくさんの工夫をしなければなりません。まず、図書は、相当重いため、常にたくさんの図書 を身に付けているわけ には行きません.教科書やノートといったものを持たなければならないとしたら、図書館から借りていく図書を持ち歩くのは、かなり困難 になります。
    図書をたくさん借りるひとは、勢いリュックのような形になったり、中には、海外旅行にもっていくような車と取っ手のついた旅 行バックを使う人もいます。
    その上、ノートブックパソコンまで、もっていたら、たいへんなことですね。
    どのように図書を持ち歩くことが可能かは、よく考えてみる必要があります。

    図書館の問題じゃないだろうという意見も聞こえてきますが、利用者のライフスタイルを考えてみることは大切です。


(6)スムーズな貸出システム,貸出ルール
   待ち行列のすくない、ストレスのない 図書の貸出システムは重要です。
   自動貸出機にも有効です。
   ICタグの利用も始まると、貸出カウンターといったものもいらなくなるかもしれません。



図書の貸出が増えると、作業量は、飛躍的の増加します。
書架への図書の戻し、返却、貸出作業の増加。勢い図書館への要求も多くなります。
貸出時間の延長、一度に借りられる図書の冊数の上限の撤廃、延滞の対応、雑誌、
レファレンス資料の貸出要求、開館時間、コピーの問題.... など、飛躍的に増加していきます。
それを前提に、貸出冊数を増やしたいと考えるなら、貸出数を増やしたいということを、積極的に
利用者にアピールするのが、一番です。
大学なら、先生方が、図書館を積極的に使わせたいかという意向は大きく影響しますね。


それでも、図書の貸出冊数を飛躍的に増大させたいと考えているのなら、上記の点を考えながら 糸口を見つけてみることができるかもし れません。

基本的な、コンセプトを明示できるようになると、いいかもしれません。
 先生方の貸出冊数の増加
 学生の貸出冊数の増加
 入館者数の増加

 ただし、図書館の利用が増えるということは、仕事が増えていきます。決して、それによって、大学等に利益がでるわけではありません ので、大学として、図書館利用を活発にするという基本的な方針が必要でしょう。