黒 澤公人の Project L 国立国会図書館

「一次情報ダイレクトアクセス」時代、「検索即閲覧」時代のドキュメンテーションシステムのあり方を考える。

黒澤公人のProject L  国立国会図書館   真理がわれらを自由にする。


真理がわれらを自由にする。 国立国会図書館が掲げた、この言葉、国立国会図書館法の前文にある。


その前文は、

 国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命 として、ここに設 立される。

と記されている。格調高く、国立国会図書館の存在とはなにかを自己証明しようとしている。国立国会図書館は、県立図書館は大学図書館 とは、ちょっと、ち がって、国会に対していろいろサポートする側面をもっているが、この国立国会図書館法に掲げられたこのことばは、図書館とはなにか を、問いかけている。


しかも、図書館の使命が2つ掲げられている。 一つは、日本の民主化であり、もう一つは、世界平和への寄与である。

たかが、図書館である。しかし、図書館の使命は、日本の民主化と世界平和への寄与することなのである。

この主張のすばらしさは、この言葉が発せられた その内側には、強烈な思いが、込められている。

図書館は日本の民主化と世界平和に寄与する存在であるという、強烈な主張である。

第二次世界大戦の敗北の結果、日本は新しい道を歩みださなければならなかった。日本のすべては、GHQの管理に置かれ、新聞記事、ラ ジオ放送の一つ一つま で、チェックされた。そんな時代の中に、国会図書館は誕生することになる。
そのためにGHQのアメリカから呼んだ、図書館関係者達によって、日本の国会図書館のあり方は、模索され、提言された。それらが、国 会図書館の原点におか れたという事情もある。
国会図書館法全体も、また、この前文も、アメリカからおいでになった方々の意向を色濃く反映しているに違いない。
しかし、それらの人々の中には、国立国会図書館が日本の民主化の砦、世界平和の砦であると信じている力がある。

国会図書館の歴史をみていると、ダウンズ勧告という、国会図書館の今後の業務のあり方を勧告したレポートがある。
目録など、今後、どのようにしていくべきか勧告したのだが、目録を和洋別にした方がよいとの勧告も、日本の実状を考え、また、日本の 民主化の推進の上で も、和洋別の目録にしたほうがよいという意見に立っているもの、興味深い。

21世紀になり、20世紀の半ばに行われた世界大戦も、だんだん遠くなり、インターネット技術も、普及して、国境というものが希薄に なりつつある。膨大な 情報が、ネットワーク上で統合されようともしている。
その中で、新しい模索が必要なのかもしれない。
日本の民主化と世界成和のために、図書館は常に新しい道を求めつづけてきたのだ。

そして、人類が活動した、良きも悪きも会わせて、静かに、多くの人の目に触れるために保存することもある。
日本の民主化と世界成和のために、人類の資料を蓄えてもいる。

    by kimito 2003.9.26 北海道に大地震発生の日によせて