黒 澤公人の 面白図書館学 分類表の特性

「一次情報ダイレクトアクセス」時代、「検索即閲覧」時代のドキュメンテーションシステムのあり方を考える。

面白図書館学  分類表の特性

分類表における直下型地震発生メカニズムのしくみ。

十進分類表は、画期的な分類表です。ありとあらゆるものを、体系づけて、分類することができます。
ちょっと、こまった問題があります。
無限拡張にみえるこの分類体系も、時代とともに、大きくなる分野、衰退する産業、新たな学問、新たな分野が
出現します。十進分類表では、その時代時代に合わせて、適合する作業が必要になってきます。
すると、十進の数を巡って、領土拡張戦争がはじまり、そして、直下型大地震のような分類表変更が行われます。
時代に適応した進化のためには、仕方がないのかもしれません。

世の中には、無限拡張の分類表や、十分な予備スペースを確保して、未来の変化に備えた分類表もありますが、
十進分類表は、限られた999の世界のやりくりが必要になってきます。
そして、大問題のは、図書の所在を決めるのに、分類番号と著者記号の組み合わせ(請求記号)を基本としているので、
分類番号の変更は、物理的図書のとの関連をともなって、図書館では、大問題になってしまうのです。

もし、新しい分類表が登場して、いままで、存在する図書を、再編成し直さなければならないとしたら、たいへんな作業になってしまい ます。



図書館では、図書を分類別に並べます。
(本屋さんもそうですけど。)

図書館は建設されると、どこにどの本を置くのかを割り付けます。
そして、購入された図書などが、分類されて並べます.
図書は、分類にそって、均等に出版されるわけではありませんので、
多くの冊数出版される分野などが出てきますので、それを考慮して
割付をします。


実際、運用すると、棚が一杯になったりしますので、再配置作業をおこなって調整します。
大部のシリーズなどがあると、別置という方法で回避したります。
大型本は、書架スペースを効率的に使えないので、専用棚に移動します。


図書の再配置は、棚移動という方法で行われます。これは、目に見えて限界を感じながらしなければならない作業なので、基本的に、予期 した出来事ともいえま す.

問題は、分類表の改定に伴なう、大問題です。
多くの場合、新しい分野の登場 たとえば、情報科学やコンピュータなどがその事例であり、衰退産業として、養蚕などがあげられます。
そのような新しい分野をどのように割り当てるかは、非常に難しい問題です.多少の予備を持っていても、なかなか、小手先で対応できな い場合も多くありま す。
一応、世界を1000区分に割り当てて、それ以外の世界を使わなければならない前提ですから、新しい分野の登場は、他の分野の削減と いう問題が生じます。
そして、新しい分野が登場したといことは、すでに、たくさんの本が存在しているということに他なりません.

そして、その現実に対応した新しい分類表が登場します。
それは、直下型大地震にも対応する出来事で、一度、分類した図書を再度、新しい分類表に対応するのは、非常に大きな労力を必要としま す。

この宿命のような分類表の改定という問題に、どのように対応していくのか、非常に難しい問題がありますね。

             

日本十進分類表 改定年


出版年 間隔

第1版  1929

第2版  1931  2年

第3版  1935  4年

第4版  1939  4年

第5版  1942  3年

第6版  1950  8年

第7版  1961 11年 

第8版  1978 17年

第9版  1995 17年









第10版は、いつごろになるのでしょうか。
もし、第10版に全蔵書を遡って対応するとしたら、たいへんなことですね。
新規購入図書だけ、対応するとすると、図書分類の整合性問題にぶつかります。
分類表は、図書館にとって、利するものなのでしょうか。
むしろ、柔軟に拡張できる、分類表のほうが、本当はいいのかもしれませんね。

分類表に対応するというのは、難しい問題ですね。
まじめに考えれば、考えるほど、分からなくなります。
変化する分類表を前提に図書館を構築していくことになるのでしょうか。
 

分類表も70年の歴史があるわけですが、70年間に急激な時代の変化があり、そして、図書の内容もものすごく変化しました。しか し、NDCは、大き な分類枠が最初から決められているので、時代の変化によって、枠の変更が生じます。
できれば、無限に、枠が拡張できるシステムの登場がいいのですが。